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執筆者の写真Aniwo Info

【Agritech 2023 開催前インタビュー #2】植物性代替肉を開発する注目スタートアップ、Redefine Meatの持続可能な食肉生産に向けた未来への展望


Redefine Beef Flank(Redefine Meat HP)


 培養肉・代替肉先進国としても有名なイスラエル。近年注目を集めている企業が、植物性代替肉を開発するスタートアップ、Redefine Meatである。


 今回弊社は、2023年10月17日から開催される「Agritech 2023」の日本メディアパートナーとして、同サミットに参加予定の同社CTOへ、開催に先駆けインタビューを実施しました。同社のミッションや植物性代替肉生産への革新的なアプローチ、そして世界の食事情に与える影響について深掘りしております。


▼「Agritech 2023」概要はこちら

日時:2023年10月17日(火)~19日(木)

場所:The David Inter Continental & Dan Panorama Hotels(イスラエル テルアビブ)

申込:https://www.agritechil.com/


なぜ植物性代替肉なのか?


 ”肉”の消費方法に革命を起こすことを使命に5年前に創業し、味と品質に妥協することなく、持続可能で環境に優しい代替品を提供しようと努力を続ける同社について、「私たちは、”畜産環境問題を発生させない食肉を作る”という、ただ一つの目標を掲げて立ち上がりました」と情熱的に説明するのは、Redefine MeatのCTO(最高技術責任者)であるDaniel Dikovsky氏(ダニエル・ディコフスキー)である。


 畜産業の中でも牛肉産業は特に、温室効果ガスの排出や、広大な土地の必要性、水の大量消費、汚染問題といった多くの課題を抱え、私たちの地球に大きな課題を突きつけているという。


 この課題を受け同社は、環境に悪影響を与えない革新的な技術を用いて、牛肉を植物由来の代替品に置き換え、従来どおり食肉を楽しむ機会を提供することを目指しているのだ。



植物性由来代替肉の生産プロセス


 前提として、肉は狩猟や共同生活の祝祭といった長い歴史と伝統に根付いており、私たちの食生活や文化において常に中心的な位置を占めてきた。同社は、これら肉の文化的意義を認識し、その本質を守りながらも、食肉の生産プロセスを再定義することを目指している。


 だからこそ、同社の代替肉生産におけるアプローチにおいては、単に肉としての物理的特性を再現することではなく、食文化に欠かすことができない重要な要素である、”人々が肉を食べる際の感覚的体験と風味”を正確に捉え、再現することを重視しているという。


 植物ベースの組織工学を追求する同社生産プロセスでは、肉を筋繊維や結合組織、霜降り、ジューシーさなど様々な要素を持つ複雑な組織に例え、これらの感覚を忠実に再現することを目指し、社内外の食肉科学者と協力しデータを収集し、製品のあらゆる側面を微調整しながら開発を進めている。


 植物由来の代替肉は、従来の肉の味と食感、栄養価を模倣するために、タンパク質や多糖類、脂質を用いて分子レベルでの調整を行う。同社は、必要な要素を模倣することに集中する一方で、食体験にとって重要でない要素は省いており、これにより、汎用性が高く適応性の高い植物性食肉を生み出しているという。


イスラエルのイノベーション・エコシステムの役割


 スタートアップ大国として名を馳せるイスラエルのスタートアップエコシステムから受ける影響について、Dikovsky氏は、「イスラエルのダイナミックなイノベーション・エコシステムが、間違いなく弊社の成功を後押ししてくれました。」と名言した。


 イスラエル特有の政府主導の大胆な施策や学術機関とコラボレーションできる環境があるからこそ、創業当初のスタートアップも、機械工学や化学、生物学といった様々な分野の専門知識を組み合わせ開発を進めることが可能になるのだという。


 さらに、ハイテク産業の中心拠点に位置していることも、学界や研究機関、業界リーダーとの協力関係を築き、持続可能な食肉生産のための最先端技術の開発を促進している。



世界の食を形作る


 Redefine Meatは、牛肉の代替品を生産することにとどまらず、「持続可能な社会のため、倫理的な食選択を促すキープレイヤーとなる」というビジョンを描いている。そのために、ポジティブな変化をもたらすテクノロジーは積極的に採用し、分野の垣根を超え様々な専門家と協力体制を敷き、グローバルでのイノベーションの加速と環境責任への取り組みを着実に進めている。


 また、日本においては、代替肉・植物性タンパクの活用が古くから進められており、世界に先駆けて大豆ミートを開発してきた歴史がある。さらに、日本でも昨今持続可能な農業や代替食肉に対する関心が急速に高まりを見せており、既にスーパーマーケット等でも様々な代替肉商品が展開されている。


 このような背景を踏まえ、Dikovsky氏は日本市場に対し高い関心を見せており、「日本の植物性タンパク質イノベーションの豊かな歴史から学び、Redefine Meatが持つ革新的技術と組み合わせることで、日本のマーケットに対し新たな付加価値をもたらすことをできると信じている。」と日本とのコラボレーションに期待を寄せている。



今後の展開と将来の成長は?


 同社製品は今後、ヨーロッパの小売市場への導入を進めていき、レストラン以外での提供も拡大していく構えである。さらに、次世代のステーキを開発中であり、同製品についてDikovsky氏は、「より高いレベルでの感覚的体験と信頼性を約束できるものである」と力を込めている。


 Redefine Meatは、イノベーションを核に卓越性を追求し続け、多様な食の嗜好に応え、より持続可能な未来に貢献する製品の開発・提供を進めていくのだ。



おわりに


 妥協のない食肉づくりを目指すRedefine Meatの使命は、より持続可能で倫理的な食品産業への希望の光である。革新的な植物由来の代替肉生産を通じて、同社は食肉の文化的意義を守りつつ、環境への影響に革命を起こそうとしている。


 持続可能な社会への取り組み及び代替肉に対する注目が高まりつつある日本は、食を楽しむ体験と環境責任の双方を両立させる技術を追求し続ける同社と良きパートナーとなるのではないだろうか。


 彼らが私たちの食への取り組み方を再定義し続けているように、食文化の歩みは、責任ある消費とより持続可能な世界へとシフトしている。代替肉の先進国イスラエルとのパートナーシップが、日本市場における代替食肉のエキサイティングな未来をつくる日を楽しみにしたい。



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